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鉄道員 廃線の駅にも人生はある
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民放のプライムタイムの映画は観ないことにしているが、原作の浅田氏自らの解説だったのでついつい観てしまった。これで7回目かな。本は2册目、何十回読んだのか覚えていない。原作を先に読んでしまうと映画はがっかりすることも多いが、「壬生義士伝」とこの映画はさほど違和感もなく観ることができる。むりやり別作品に仕上げるのではなく、作品に対する愛情が強いのか、浅田ワールドを忠実に丁寧に映画化していて好感が持てる。

とはいえ小説をそのまま映画化することは不可能だ。そしてキャスティングに異論が出るのはいつものこと。この「鉄道員」も「健さんがかっこよすぎる。だから作品が台無しだ」という意見が多かったようだ。原作のイメージから言えばそういう意見が出るのもわかる。でも僕は健さんでもいいと思う。普通の老人が鉄道員の人生を誇り高く堂々と全うしていくストーリーは、テクニシャンの浅田氏の小説だから伝わることで、映像にするとチンケなものになりかねない。この作品は見るからに堂々とした健さんが、逆にちょっとしょぼくれた演技をするから良い感じに納まっているんだと思う。それに廃鉱の町の駅長が(外見が)かっこいい男であってもいいじゃないか。

個人が創り上げた小説や映画と実際の生活を重ね合わせるのは甘すぎるかもしれない。しかしこの映画や浅田作品を読むといつも思ってしまう。こんな人知れず死んでいく男の人生にも、仕事に対するプライドや他人には言えない後悔・負い目がぎっしり詰まっているんだ。ひとり一人が主役の人生を誰でも必死に生きてるわけだ。人間もある程度齡を重ねると何でも分っていると思い込んでしまうらしく、ワイドショーのコメンテーターよろしく他人の人生を一刀両断してしまう発言をする御人もいるが、そんな簡単に見透かされるような人生は誰も送っていないはず。思い上った発言は慎まなければならない。自分も含めてね。
by yattokamedagaya | 2005-01-11 21:49 | Art & Entertainment | Trackback | Comments(2)
Commented by spring8787 at 2005-01-13 00:27
はじめまして!名古屋(正確にはお隣)で暮らす者です!
「やっとかめ」の言葉に反応してやってきました。
私もブログは仕事の息抜きです。締切を抱えている時ほど
マメに更新してたりして。(ほんとに尻に火がつくと途絶えますが(^^;)
これからも時々おじゃまさせてもらいます!
原作と映画どっちもいいっていうのはなかなかないですよね。
私はいつもがっかりしたくなくて、あえて片方だけにしちゃいますが。
Commented by yattokamedagaya at 2005-01-13 01:39
はじめまして。そしてごめんなさい、私は偽名古屋人です。
でも文面から察するにその記事は読んでいただいてるんですよね。
名古屋は大好きで、この仕事をしていなければ今でも住みたい街です。
この時期の週末は毎週女子大小路かダイナランドにいたように記憶してます。
映画と原作は別の作品と考えろとよく言われますが、
そんな器用なことできませんよね。
ちなみにこの2作品以外の浅田氏原作のものはすべてがっかりしています。
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