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東京都のシンボルマークはイチョウでもある
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新緑が眩しい季節になりました。これは都の木、イチョウです。
イチョウの若葉って面白いと思いませんか。あの特徴的な葉の形そのまま
なのにサイズだけが妙に小さい、赤ちゃんイチョウの期間が長いんです。

そんなイチョウの形を見ていて思い出しました。ちょっと前のExciteコネタで
「東京都のシンボルマークは実はイチョウではなかった」というのがあったでしょう。
じゃああれは何なんだ?──答は東京のイニシャルの「T」です。とまとめていた記事。
ウンチクのような記事だったけど、僕は納得できませんでしたよ、あれでは。
まあHPにも書いてあるし、お役所の人が言うんだから、ということなんだろうけど……。
本当に制作したアートディレクター、デザイナーがそう説明したんだろうか?
都側の担当部署は制作意図を間違って理解していないだろうか?
実際自分もマークを創っている側としては、本当にそうなのかな?と思ってしまうんです。



東京都のシンボルマークはイチョウでもある_b0066893_20112810.gif

これがそのマーク。で、いったい何が気に入らないかというとですね……。
まず、何で「これはTであってイチョウでもある」ではいけないの?ということです。
東京都の頭文字「T」がモチーフであることに異論はありません。
そもそも世界中のほとんどのマークは、その種のものがモチーフ。
違う場合でも、決定までの最終プラン数案の中には必ず入っているものなんです。
つまり、頭文字を元にデザインするのは常套手段。でも、ただそれだけに留まらず
その団体の名称、イニシャル、略称(欧文、漢字、平仮名、片仮名等)をベースに
様々な要素を組み込んで、そこだけのオリジナルな、魅力的な形状を創りあげるのが
ごく一般的なマーク制作のプロセス。大切なのはそこに何を組み合わせるかなんです。

その「何か」。この東京都マークの場合「頭文字Tを三つの同円弧と鮮やかなグリーンで
構成して、躍動、繁栄、潤い、安らぎを表現した」ということにはなっていますが、
“東京都の”マークの制作意図としては、これだけでは弱いんじゃないだろうか。
どんな県でも都市でも企業でも、だいたい求めるものはこんなところでしょう。
それなら「T」がイニシャルの自治体は、栃木でも鳥取でもトスカーナでもテルアビブでも
このマークになる可能性があるということ?そんなことはないでしょう。
そのかなり重要な要素として、このイチョウの形があるのでは?

もうひとつはそれ。どう考えても、イチョウは無関係という方が無理があるでしょう。
制作前には当然都のアウトラインを調査するはず。その時既に都の木として認知されて、
街の至る所に植樹されているイチョウが目に入らないはずはない。
また、もし万が一、偶然この形ができてしまったとしても、実際創った人を含め、
発表までに関わった人間皆が、これを見てイチョウだと思わなかったのかな。
それは考えられない。でもイチョウはマイナス要素じゃないのになぜ?逆にこのマークは
ごくシンプルなフォルムに(Tを含んだ)イチョウがデザインされているから
評価されているわけで、そこからイチョウが抜けたら、評価がた落ちなんですよね。
それに韓国の、あるマークにも酷似しているらしいし。
その良い評価を犠牲にしてまでも、どうしても違うと言うのなら、
イチョウと言ってはいけない内部事情でもあるのかな?と勘繰ってしまいます。

似たような話でこんなものもありました。
これは環境省の黄砂観測キャラクター『黄砂ライダー』。

東京都のシンボルマークはイチョウでもある_b0066893_20123571.jpg

またまたExciteコネタなんですが、黄砂は中国、だからパンダと誰でも思うでしょ?
でも違う、らしい。担当者がパンダ好きで、ただ可愛いからなんだって。そんなばかな……。
だからこれはこの時期、中国やその関連の団体・企業と無益な諍いにならないための
そんな気遣いの発言だと思いたいんです、僕は。
だって、いくらなんでも、あんたが好きだからって……そんな理由、あり?



by yattokamedagaya | 2008-05-02 20:26 | Work & Mac | Trackback | Comments(10)
Commented by yokusang_09 at 2008-05-02 23:54
個人的趣味に、あとからもっともらしい理由をくっつけるのが
割と得意なワタクシとしては、黄砂ライダーはアリです(笑)
きっと、「中国」に便乗して(←これはほんのキッカケの単語に過ぎない)、
ここぞとばかりに使ってやれっ!って感じだったんではなかろーかと。

東京都のマークは、イチョウとTの併せワザだと思ってましたけど…。
Commented by TodomatsuHouse at 2008-05-03 06:51
東京でイチョウといえば八王子くらいしか思いつかないワタクシは
「何故あんな東京のはずれの木がシンボルマークなのだ?」と
長いこと思っていました (^^ゞ
年に1、2度くらい都内をクルマで走るのですが
イチョウマークをモチーフにしたガードレール(フェンス?)がありますね、緑塗装の
あれって、東京オリジナルだと思っていたのですが
埼玉県熊谷市で一ヶ所使っているところがあるんですよ。それとも類似品?
いつも見るたびに考えてしまいます

Commented by natsu-usagi at 2008-05-03 13:02
あのシンボルマークイチョウじゃなかったのですか???ほとんどの人がイチョウだと思っていますよ。

麻布十番の「逆さ銀杏」中々迫力がありますよね!
Commented by yattokamedagaya at 2008-05-03 18:50
*よくさん

>「中国」に便乗して
いや中国も関係ないようなことを言ってますぜ、この担当のおっさんは。
クモやムカデやトカゲが好きでなくて良かったです(笑)。

>東京都のマークは、イチョウとTの併せワザだと思ってましたけど…。
東京の人じゃなくてもそう思うでしょ?よくさんは半分東京の人のようなものだけど。
このマークは優れたマークを集めた本にも収録されているんだけど
そのカテゴリーは葉や植物をモチーフにしたマークの所でした(笑)。
皆そう思ってるんですよ。担当部署以外は。
Commented by yattokamedagaya at 2008-05-03 19:08
*まつおさん

イチョウは街路樹にも公園にも多いしちょっとした銀杏並木も多いし
他所の街よりは多く植えてあると思いますよ、東京には。

そうそう、そのガードレールもあるから、何でイチョウじゃないの?と言いたくなる。
あれは都の管轄の道路、都道に設置してあるものなんですね。
で、あれは葉の真ん中に切れ込みが入っているんですよ(雄の葉?)。
でもそれ以外のデザインの要素はこのマークに非常に似ているんです。
熊谷市は違うみたいですが、このイチョウを指定している自治体も多いんですね。
その他に公園や並木道などイチョウ由来の場所には
イチョウデザインの柵があるかもしれません。
でも都道と全く同じはずがないとおもうんですが……。
Commented by yattokamedagaya at 2008-05-03 19:17
*夏うさぎさん

イチョウですよね。誰が見ても。それで問題ないのに。
逆に言えば、イチョウじゃないのにイチョウに見えてしまうデザインって何なのよ?
と言いたくなります。
屋上にうんこを乗せている(と言われている)ビルよりも問題じゃないのかな(笑)。

逆さ銀杏はでかいですよね。立派。
あの界隈は写真を撮りに行ったんですが、後ろの元麻布ヒルズが邪魔なんですよ。
あの建物大キライ。威圧的だし不安定な形だし。見ていて気分悪いんです。
Commented by passerby at 2009-09-20 07:21 x
こんにちは。通りすがりです。
『黄砂ラーダー』、面白い論考ですね。
いくら担当者が好きだったからといって、コアラになるはずはありませんもの。

東京都のシンボルについて検索していてこのページにたどりつきました。
あれをイチョウではない、と言い切る都の担当者、おかしいと思います。
制定当時の新聞にも「緑のイチョウ」と書かれています。
Exiteの記事、デザイナーの名前も間違っています。
Commented by yattokamedagaya at 2009-09-20 19:43
*passerbyさん

こんにちは。僕は職業上そんなことはないと、まあ憶測だったんですが
passerbyさんはちゃんと調べたんですね。やっぱりそこまでやらないとだめですね(笑)。
このExciteの記事なども、これがネットの世界というもので、半端に調べた
あれがイチョウじゃないという記事を鵜呑みにした記事が、あの後増殖してましたからね。

この黄砂ライダーもイチョウマークもそうなんですが
デザイナーが思いつきで簡単にものを創っていると思っている人が
非常に多いと思うんですよね、巷では。だからこんな記事ができるんですよ。
それにちょっと腹立たしさを感じておりました、この時は。
Commented by passerby at 2009-09-22 19:45 x
レスありがとうございました。あちらの分も。
「黄砂ライダー」ですね。入力ミスりました。すみません。

恥ずかしながら、Exiteの記事、最初は流してしまいました。
Tをシンボライズした、というのはごく当たり前のことで、別に引っかからなかったんです。
「イチョウではない」という部分が強調され増殖するとは思ってもいませんでした。
ただ、いまのところ調べたのは報道記事だけで、当事者からの「イチョウである」発言は未確認です。

一般向けのデザインの展覧会も増えてきましたが、多くは最終製品の提示で、プロセスは描かれないことが多いですね。なにがボツになったのか、それはなぜなのか、等々。
「思いつき」ではないことを理解してもらうのは現実にはなかなか難しいところだと思います。
Commented by yattokamedagaya at 2009-09-23 08:14
*passerbyさん

普通皆イチョウだと思っているから、それがイチョウじゃないということで
記事になると思ったんでしょうね。
報道記事のレイ吉村さんの発言ではイチョウは入っていませんが
でも憶測だけで報道陣もイチョウだと決めつけないでしょう。
そんな報道でいいのか?日本の報道は。でもありそうかな(笑)。

専門誌くらいしかプロセスを見せませんからねぇ。
昔は担当者も事情に詳しい人材がいたから良かったんですが
思いつきで創っていると思っている人がクライアントになったら
ちょっと仕事が辛くなってきます。
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