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読めないよ!
こういう仕事をやっている人には「耳たこ」でしょ?クライアントのこの言葉。
そしていずれは自分もそうなる、はず、だが……。

「カタログの7級(約5ポイント)の文字が見えなくなったら現場はリタイヤだよな」
そんなことを仲間と話していたのは何十年前のことだろう。ところが、
その想定していた年齢を大きく超えているにも関わらず、見えちゃうんだよね、私には。
7級どころか、スペックや規約のごまかしたい箇所に使うような非常に小さい文字まで、
裸眼で文字を読むのにこれまで苦労したことがない。つまり老眼にならないのよ、私は。
そりゃ多少はなっている。それはたまに近視の眼鏡をかけた時や、暗い車内で地図を見たり、
作り物をする時に筆で小さい文字や絵を書き込む時には、以前との違いを感じる。
目から10cm以内はさすがにピントも合わなくなった。でもその程度。生活には困らない。

これは同年代の人からは羨ましがられるようなことでしょ?普通は。
でもこの仕事をやっている限り、あまり良いことではないのかな?なんてことを最近感じる。
つまり年相応に目も衰えていかないと、世の人間の気持ちはわからないんじゃないかと。
高齢化社会だからね。「読めないよ!」という人は年々確実に増えている。減ることはない。
だからそれに対応したものを作っていかなければならない。これは当然のこと。
でも経験していないことはわからないでしょう。それにバランスを崩した大きい文字
イコールダサイ、と言えなくもないんだよね。場合によるけれど。

それとは逆に“自分が”見えないことを判断の基準にしすぎるんじゃないか、とも思う。
どんな仕事も決定権のある人間はだいたい40歳過ぎ。そりゃ見えなくなってきて当然だけど、
それが若い人対象の案件だったらそこは目を(本当に)つぶっていただかないと。
若向け雑誌の編集長でも老眼は多いはず、ということをお忘れなく。
それから──これはあまり老眼とは関係ないのかな──ポスターでも言われることが多い。
ポスターは離れて見るものなんだけど、離れるにしても限度というものがあるだろう。
マサイ族の視力検査じゃないんだから。せいぜい数メートルがいいとこ。
それに近くに来てから読んでもらいたい部分。読んでくれなくてもいいような部分。
色々あるんだから、文字なら何でもでかくする必要はないのだ。

でもね、何でも読めちゃうからねぇ、私は。そうに違いない、なんて言葉は
ちょっと最近言い切れる自信がない場合も多いのだ。彼らと同じ経験を
(一生はまだいいから)一度だけでもしてみたい。イヤミ?
今では高齢者や妊婦の疑似体験をすることができるらしいが、ボディースーツはいいから
あの老眼体験眼鏡だけを、どこかで貸してくれるサービスはないのかな。
役所、病院、眼鏡店で1週間貸し出しとか……ないよな……。
by yattokamedagaya | 2008-10-03 23:41 | Work & Mac | Trackback | Comments(10)
Commented by AZUKI at 2008-10-04 02:52 x
うらやましいのひと言。

新聞、文庫本はまだOKですが、カタログのスペック等は、情けないことに眼鏡をおでこにのっけて読んでいるこの頃です。

目の疲れからくる肩凝りも少ないのかな~
Commented by yschwarzekatz928 at 2008-10-04 13:58
私も見えちゃう側なんです…目が良いだけが取り柄~w
印刷物の違和感ある文字サイズは、そういう理由もあるんですね。
仕事でも、画像加工の仕上がりで揉めるんですよ。
私もローランサンの世界を体験してみたいです。
Commented by yattokamedagaya at 2008-10-05 09:41
*AZUKIさん

新聞は20年前くらいから段階的に拡大、文庫本も最近は文字の大きいものがありますね。
でも文字の大きい文庫本は、僕にはかえって読みにくい。
小さくてもいいから行間に余裕をとってもらいたいんです。

近視で眼鏡をかけている人は、切り替えがめんどくさいことになるのはわかります。
僕の老眼が進まないのは、裸眼で免許更新ができるかどうかという半端な近視に
原因があると思っているんです。眼鏡はほとんどかけないんです。
弱い近視の眼鏡でも、近くを見ると確かにピントが合いづらくはなっていますが
これと老眼の見え方とはまたちょっと違うんでしょ?
Commented by yattokamedagaya at 2008-10-05 09:51
*黒にゃんさん

20年前と比べると、全体で2級くらいは確実に大きくなっていると思いますよ。
弊社制作物でも、一般に向けたものはそれくらい意識して作ってます。
本文11Qで作りたいカタログも相手によっては13Qにします。

黒にゃんさんの仕事は、ポスターよりも文字の可読性が求められると思いますが
揉める相手は、仕事を知らないから揉める場合が多いんですよね。
バブル後は、わかっているお客様とそうでないお客様とのギャップが
年々大きくなっていて疲れます。
Commented by mado_nf at 2008-10-05 17:20
やっとかめさんは老眼の近くにおられる年齢でしたか…
ひとまわりはお若い方かと思ってました^^

友達に、近くはよく見えるのだけれど遠くが見えなくなったと言って
近眼用のメガネつくった人がいるんです

友達はお芝居が好きで行っていたのだけれど
俳優さんの顔が見えなくなったんですって
老眼にもいろいろがあるみたいです

手元は全く見えないのに
わたしは裸眼で1.0~1.2あったの
若いころは1.5あって
メガネ屋さんでmike*さんは遠視もあるから遠くも見え難くなりますよと言われてる
すでに来てます
小さい文字のおしゃれなサイトは苦手です(=^・^=)
Commented by yattokamedagaya at 2008-10-05 23:42
*mike*さん

いつも自分からばらしてしまうからアレですが、ひとまわり若く言っても
何の疑問もないと思います。見かけも体力も。
手塚治虫の火の鳥の牧村さんと呼ばれています(年々若くなる、笑)。

遠くが見えないこともあるんですか。やっぱり老眼でも色々あるんですね。
近視の人が遠近切り替えで大変だということはよく見ていますが
目が良かったとしてもそれなりに悪くなるんですね。
一歳ちょっと上の兄がしばらく会わないうちにかなり悪くなっていたので
油断はできないと思ってはいます。

印刷物は相手によって文字の大きさを考えればいいんですが
ネットの場合は誰向けでも、ある程度の文字の大きさは必要だと思います。
でもおしゃれと引き換え、ということはありますよね。
Commented by mike* at 2008-10-06 19:35 x
>手塚治虫の火の鳥の牧村さん…

あの足のような植物の下で赤ちゃんになった牧村さん^^?
う~ん、それがわかる年代ね´〇`
Commented by yattokamedagaya at 2008-10-07 07:46
*mike*さん

そうそう、その死ねない牧村さん。あれは宇宙編?
他の話にも出てきますけどね。

面白いんだけど、何とも言いようのない話ばかりです。
Commented by mike* at 2008-10-08 23:40 x
うちに「未来編・ヤマト編・宇宙編」があったので確認しました
宇宙編で正解です^^v

すみません何度も、気になっちゃったもんで…´〇`
Commented by yattokamedagaya at 2008-10-09 07:54
*mike*さん

少女漫画に載っていたもの以外は全部見ているはずなんですが
◯◯編ではピンと来ないんですよね。内容を聞けばわかるけど。
牧村さんは(たしか)望郷編にも出ています。
ある星で永く生活した女性(ある種女王様)を地球に連れ帰る
宇宙連絡船員。脇役ですけどね。
火の鳥は何度もアニメや実写になってますが、あの世界観は出ません。
手塚治虫氏は天才です。カスのような漫画も多いですが(笑)。
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